今年に入り、女子レスリング界に衝撃を与えた、レスリング日本協会の栄和人元強化本部長によるパワーハラスメント問題。
被害を受けたとして、内閣府の公益認定等委員会に提出された告発状に書かれている被害者はなんと教え子の伊調馨選手だった。
伊調選手はオリンピック4連覇の偉業を成し遂げその功績が称えられてきたが、まさかのパワーハラスメント被害にあっていたというのだ。
この問題は栄和人元強化本部長の辞任という形で幕を下ろしたが、その後の伊調馨選手の活動に動きがなく心配する声が上がっていたのだ。
そして、ここへきて伊調馨選手がついに活動を再開し動き出したとのニュースが舞い込んできた。
期待が集まる伊調馨選手の東京オリンピックの出場は実現するのか?その復帰プランについてまとめてみた。
伊調馨が復活!?パワハラ問題を乗り越え東京オリンピック出場に向けた動き
リオオリンピックで女性アスリート初の4連覇という偉業を成し遂げた伊調馨選手はその後、レスリングから遠ざかった。
2016年10月には国民栄誉賞を受賞するなど華々しい功績を上げたのにも関わらず、当時のインタビューで4年後の東京オリンピックについて聞かれると常に慎重な姿勢だったのだ。
当時のインタビューに『しっかり決めてからじゃないと4年後を目指すとは言えない。もうちょっと時間がかかります』と伊調馨選手は答えているのだ。
そして今年に入り、衝撃的なニュースが世間を驚かせたのは記憶に新しいものだ。
アテネオリンピック銅メダリストの田南部力コーチからの告発で教会のパワーハラスメント問題が発覚したのだ。
田南部コーチは伊調馨選手を指導しており、告発したパワーハラスメント問題の被害者の一人として伊調馨選手があげられたのだ。
当然日本のレスリング界は大揺れとなり、また各マスメディアから連日に渡る報道にも注目が集められた。
■練習拠点問題の解決により目指す目標はやはり東京オリンピック
パワーハラスメント問題の一つに挙げられたのは、リオオリンピック後から、伊調馨選手が練習拠点を失っているということだった。
この問題については連日報道でも取り上げられ、それぞれの言い分が問われてきた。
そうした中、行き場を無くしていた伊調馨選手に手を差し伸べたのが日本体育大学だ。
練習場所を提供され、伊調馨選手は昨年末から徐々に通いだしており、現在では積極的に朝練にも参加している。
日本体育大学では伊調馨選手の指導役でもある田南部氏もコーチを務めている状況から、再び東京オリンピックを目指す状況・環境が整ったのではないだろうか。
また、伊調馨選手の練習を見学したと言う日本体育大学の松波健四郎理事長は、その練習の多岐にわたる項目からも、4連覇の強さの秘訣を感じ取ったと言うのだった。
伊調馨選手は現在の練習で、スピードをつけるために自分より軽い選手と対戦したり、逆に力をつけるために重量級の選手とも手合わせしているのだ。
そんな伊調馨選手は自身も、女子部員の指導役を務めるなど、レスリング現役選手として、そして後世に教示する立場として奮闘しているのだ。
伊調馨が復活!?パワハラ問題を乗り越え東京オリンピック出場に必要なステップ
そんな伊調馨選手だが、リオオリンピックでの選考過程をもとに考えると、おそらく来年の世界選手権を制することで東京オリンピックを目指すうえで優位に立てるだろう。
その為にはまず、今年12月の全日本選手権を制することが最重要課題となるのだ。
これまでの実勢が十分にある伊調馨選手なら、おそらく推薦出場も可能だと思われるが、全日本女子オープン選手権(2018年10月13日~14日・静岡三島市民体育館)で勝利することで出場資格が得られる。
すでに2年後に迫っている東京オリンピックを目指すため、再び伊調馨選手が立ち上がろうとしている。
■問題となったパワーハラスメント問題の勃発と終着
2018年1月18日
レスリング関係者が代理人を通じ内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出。
その内容は、伊調馨選手が日本レスリング協会の栄和人強化本部長(元)にパワーハラスメントを受けたとするものだ。
2018年3月1日
日本レスリング協会はこの告発内容を否定する。
『当協会が伊調馨選手の練習環境を不当に妨げ制限した事実はない』とマスコミにも大々的に発表。
2018年3月6日
日本レスリング協会が弁護士による第三者機関を設置。
関係者、各所への聞き取り調査を委託すると発表した。
2018年4月5日
第三者機関は調査の内容をまとめた報告書を日本レスリング協会に提出、説明。
栄和人強化本部長(元)の行為の一部がパワーハラスメントであると認定された。
2018年4月27日
内閣府の公益認定等委員会は告発状をもとに調査し、パワーハラスメント行為を認定した。
2018年6月8日
日本レスリング協会の理事会が開かれ、栄和人強化本部長(元)の解任の方針を固めたと発表。
同23日の評議委員会で決定された。
まとめ
オリンピック4連覇を成し遂げた伊調馨選手の東京オリンピックの出場には誰もが期待しているところ。
今年に入り各マスメディアで報道された、栄和人強化本部長(元)によるパワーハラスメントでそれが深刻な問題となっていたことが明るみになり、期待する東京オリンピック出場にも陰りが見えていたが、何とか練習場所を得て着実にその準備に向かって進んでいることが分かり安心した人も多いのでは。
年齢的にもおそらく次の東京オリンピックが最後ではないかと思われる伊調馨選手の活躍から目が離せない。
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