先日より話題になっていたレスリング会のパワハラ事件ですが、新展開があり、第三者委員会が伊調選手へのパワハラを認定したとのニュースがありました。
伊調選手はレスリング女子でオリンピック４連覇を達成した選手ですが、同協会の栄和人強化本部長からパワーハラスメントを受けていたという告発状が内閣府に提出され問題となっていました。
調査を委託されていた第三者委員会から４点のパワハラ行為が認定され、日本レスリング協会は６日緊急理事会を開催し、福田会長ら幹部が謝罪会見を行いました。
会見では「伊調選手、関係コーチ、その他の関係者の皆様に、この場を借りて深くお詫び申し上げます。」と頭を下げました。
この問題では、教会の副会長で、栄強化本部長が所属する志学館大の谷岡学長は、問題発生後の記者会見でパワハラを否定していました。
その点について、谷岡副会長の様子について問われた福田会長は「今日はそういう事はおっしゃっていなかった。しっかり対処していくと話していた」と明らかにした。
同日、栄強化本部長から、谷岡副会長を通じて辞表が提出され、理事会はこれを受理しました。
栄強化本部長は「自分の不徳の致すところ」と話しているとの事です。
認定されたパワハラは、女子合宿中に栄強化本部長が伊調選手に対して「お前、よく俺の前でレスリングができるな」とは発言したことなどを含めて４点あります。
一方告発状に記載のあったロンドンオリンピック後の男子合宿への参加禁止、リオオリンピック後の警視庁への出入り禁止、そして現在までおける練習場所確保への妨害は認定されませんでした。
同協会は問題が明るみに出た直後はパワハラを否定していたが、その後倫理委員会が弁護士３人による第三者機関を設置し、伊調選手や告発状を出した関係者、栄強化本部長らの聞き取りを調査を委託していました。
今月４日までに調査を終えて５日に協会に報告したということです。
告発状では栄強化本部長は伊調選手が希望する男子合宿への参加を認めず、指導を受ける田南部力コーチに不当な圧力をかけたことを指摘していました。
なお、この問題については協会とは別に内閣府も調査をしています。
それを受けて女子レスリングの伊調選手が６日所属するＡＬＳＯＫを通じてコメントを出しました。
「本日、日本レスリング協会が第三者委員会による調査結果について発表しましたが、まだ内閣府の調査が続いておりますので、最終的にはその調査結果を待ちたいと思います」としたうえで、「日本レスリング協会がアスリートファーストの確立に尽力されることを信じており、私も協力してまいります」とつづった。
また「あらためて応援してくださっている皆様に感謝申し上げます」と結んだ。
■認定されたパワハラは４点
・２０１０年２月の合宿で、女子強化委員長だった栄氏は東京へ練習拠点を移した伊調選手を部屋に呼び、「よく俺の前でレスリングができるな」言った。
弟子が離れていったことへの逆恨みにも似た心情としか解釈できない。
・同年、伊調選手はアジア大会(中国・広州)の選考基準を満たしていたが、別の選手が代表になった。
協会は伊調選手に十分な説明も行っておらず、伊調選手も納得していない。選考過程が不明確で、伊調選手を選考から排斥する行為と解釈すべきだ。
・同年９月の世界選手権(モスクワ)の際、宿泊先で、栄氏が男子フリースタイルのコーチだった田南部氏に「伊調選手の指導をするな」と言った。
栄氏は女子フリースタイルを統括する指導者として実績を重ね、男子チームに対しても事実上の影響力を持つ立場にあった。
栄氏優位な立場を背景としており、不適切な発言。
・１５年２月に行われた、男女合同合宿中、協会の指示で別のコーチと２人で京都に指導に出向いた田南部氏に対し、栄氏が外出を叱責。
さらに伊調選手の指導に話を移し、「目障りだ、出ていけ」と罵倒した。栄氏は別のコーチには何も言わなかった。
■パワハラと認定しなかった点
・１６年８月のリオオリンピックで伊調選手は他の２選手が栄氏と、別の飛行機のビジネスクラスでリオに向かったと聞いた。
伊調選手は自費でプレミアムエコノミーに変更したに過ぎずパワハラは認められない。
・警視庁レスリングクラブで田南部氏の指導が伊調選手に集中しすぎているという不満を耳にした同クラブの監督が、伊調選手の所属先に「もう警視庁に練習に来ないでほしい」という話をした。伊調選手は部外者のため問題ない。
・１６年９月に東京オリンピックに向けた強化体制として、栄氏が引き続き強化本部長になったが、田南部氏は男子コーチから外れた。
コーチは再任されるものではなく、コーチ陣全体のバランスや構成、相性などを総合して選定するため栄氏のパワハラとは言えない。
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