夏休みの宿題といえばお決まりの読書感想文。小学5年生なら今年は5回目でしょうか。
読書感想文って書くこともめんどくさいけど、実は本選びが一番大変だったりしませんか。
気が付いたら夏休み終わり目前で焦って図書館に行ったりした経験がきっとあると思います。
そこでこのサイトでは小学5年生におすすめの読書感想文が書きやすいおすすめの本を3冊ご紹介します。
4年1組に転校してきた主人公の木下始が転校してきた学校は成績で席順がきまる学校です。
始は転校してきた初日に教室で背中に羽をもつ小さな透き通った男が飛んでいるのを見ました。
翌日、始はその男がクラスで『びり』を取った人のところにやってくるということを知りました。
始は小さな男と話が出来るようになり、男が『クラスの成績競争でびりっかすになってしまった子の気持ち』が集まって誕生したことを聞いたのでした。
この日から始はこの小さな男を『びりっかすの神様』と呼ぶようになり、びりっかすの神様と会うためにびりをとることに努めたのでした。
それからしばらくすると、成績の悪い子が何人かいた場合、子供たちは心の中で会話をすることが出来るようになりました。
一番悪い成績をとればびりっかすの神様を見ることができるから、わざと0点を取ったり、名前を書き忘れてみたり、みんなあの手この手でびりを取ろうとしました。
でもある時、クラスでそれは本気で頑張っている人に失礼なんじゃないか?という話がでました。
そこで出た案が、クラスで1番悪い点を取ればいいんだから、0点じゃなくて、みんなで同じ点を取ろうということになりました。
そうして生徒たちの成績はだんだんと上がっていき、ついには優等生にも追い付いてしまうのです。
こうしてみんなで頑張りあいながら、みんなが成績をあげていった4年1組。
先生はそれを気味悪がり、体調を崩してしまうのでした。しかし、体調を崩した先生の姿はまるでびりっかすの神様と瓜二つだったのでした。
だんだんとクラスメイト達のなかにびりっかすの神様のことが伝わっていき、ついにはクラスで一番の優等生もびりっかすの神様を見れるようになりました。
点数競争に執着しない、おちこぼれから最後には示し合わせてびりをとる『びりっかす作戦』が始まりました。
びりっかす作戦は次第に友達同士の連帯感を生み、クラス中が一丸となる事ができました。
運動会の日、目玉種目のクラス対抗リレーでは子供たちは結ばれたチームワークを発揮する。
本当は本気でリレーに挑むべきか、わざとびりになるべきか真剣に話し合った。
それは隣のクラスに足に障害のある子がいるからだった。
しかし、子供たちは真剣に挑戦することを選んだ。
それはハンディを抱えながらも懸命に走ろうとしている競争相手への誠意であった。
仲間と連帯して真剣に挑戦することと、自分ひとりで点を取るためだけに競争するのとは違うことを4年1組の子供たちは気付いたからでした。
■この物語のキーワードは『がんばる』ということ
主人公の始は転校前にお父さんを亡くしていた。
だからお母さんは『もし頑張るっていうことが、お父さんみたいに生きるっていうことだったら』
『人に勝つことが頑張るっていうことだったら、始、お母さんはあなたに頑張ってほしくなんかないのよ』
『誰もいない砂漠を一生懸命に一人で走っているお父さんの姿が浮かんだ。お父さんは突然つんのめって倒れた。うまれて初めてお父さんを可哀そうだと思った』
始とお母さんの会話から、【がんばる】ということの意味を考えさせられます。
もちろん、頑張るということは良い事なのでしょう。ですが、何に対して頑張るのか、どうして頑張るのか。
それが競争や相手を負かすことだけに使う【頑張る】だけではなく、頑張ることへの本当の意味と価値を考えさせられるストーリーに、子供はもちろん、大人にも読んでもらいたい作品です。
夏の庭20刷改版 The friends (新潮文庫) [ 湯本香樹実 ]
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小学6先生の主人公の木山と同級生の山下、河辺はいつも一緒に行動している。
そんなある日、山下がおばあちゃんの葬式で数日間学校を休んだ。
山下はある日、二人に「死んだ人、見たことあるか」と尋ねた。
人は死んだらそれでおしまいなのか。それとも死の先にはまだ何かあるのか。
これまで考えてみたこともなかった疑問が3人の心に広がった。
そんなある日、河辺が2人をマンションの駐車場に呼び出した。
河辺は、この近くの古い木造の家に住んでいる一人暮らしのおじいさんがもうじき死ぬと聞いたから、その家を張り込みして死ぬとどうなるのか確かめてみようと提案した。
そのおじいさんの家は新聞紙で補強した割れた窓ガラスに、部屋にはがらくたが広がる家だった。
おじいさんはもうすぐ7月だというのにまだコタツに入りテレビばかり見ていて、3日に1度くらいコンビニにお弁当を買いに行く。
3人はこのおじいさんの死を見届け、死とは何なのかを確かめようというのだ。
そして1学期の最後の土曜日、家が魚屋をやっている山下は店から刺身をくすねて持ってきた。
刺身を玄関の前に置き、ドアをたたいて隠れると、おじいさんが出てきて、家に戻った。刺身の皿は消えていた。
おじいさんはこの事で3人に見張られていたことを知った。
おじいさんは「おまえら、なにしてる」と声をかけた。それに対して気の短い河辺が言い返し口論になった。
おじいさんは「まったく、親の顔が見たいもんだ」と怒って家に戻ってしまった。
しかし、それからだんだんとおじいさんはまるで生きがいでも見つけたかのように見違えるようになった。
料理も洗濯もしてアイロンもまでかけるようになったのだ。
ただ死を待つだけに見えたおじいさんが、3人の子供から生きる楽しみを見つけたかのようだった。
ある暑い日おじいさんが「蚊が多くて窓も開けられん」と言うので3人は庭の草むしりをする。
翌日はおじいさんが縁側にスイカを持ってきてみんなでスイカを食べた。
そして庭にコスモスの種をまいた。種をまいた後にホースで水をかけるとそこにはきれいな虹が現れました。
8月の台風の日、おじいさんは家に入れてくれた。その時おじいさんから昔の戦争の話を聞く。
戦争のため小さな村の女や子供を仕方なく殺害した。
おじいさんが殺してしまった人の中にはお腹にあかちゃんのいる女性もいた。
戦争からもどったおじいさんはその時の罪悪感から、妻のまつ家には戻らず、ずっと独りで生きてきた。
奥さんの名前は『小香弥生』。
3人は戦争で死なせてしまった女性のショックが大きかったから分かれてしまったのだと思った。
その後3人は電話帳で探した老人ホームに奥さんを見つけることができ、訪ねたが、夫は戦争で死んだのだと思っているようすだった。
3人は何とかおじいさんに弥生さんを合わせてあげたかったのだ。
8月の最後の週は例年通り、サッカーの合宿だった。
4日後帰ってきて、3人は手土産をもっておじいさんの家に行くと、おじいさんはお膳に4房のブドウを置いたまま、眠るように亡くなっていた。
その後、おじいさんの甥が火葬場で言った。
おじいさんはある女性に遺贈するお金をためていた。その人の居場所は3人が知っているから、自分が死んだときは3人の誰かに連絡してくれと書き残していた。
10月最初の木曜日。おじいさんの家の取り壊しが始まるまえに、3人はおじいさんの家に行くと、庭にはたくさんのコスモスが咲いていた。
■3人の子供たちが得たものは何だったのか。
木下は火葬のとき、おじいさんの骨をみながら『ぼくもこれからがんばるよ』と心の中で声をかけた。
3人にはそれぞれ抱えていた複雑な家庭の事情があった。それを乗り越え強く生きていこうと彼らは誓う。
おじいさんとの出会いは3人を大きく変えたが、それは孤独を生きるおじいさんもまた同じだった。
最初は好奇心から近づいたおじいさんとのかかわりが、3人を成長させ、心優しい子供にしてくれた。
おじいさんは3人の子供たちと日々会話することで生きる楽しみを見出したのかもしれない。
合宿で会えないまま死んでしまったおじいさんが、3人を待ちわびていたかのように4人分のぶどうを用意して待っていたのがその証拠です。
戦争というダークな部分も書かれていますが、きっとこの本を通じて得る物は大きいのではないでしょうか。
ぼくたちのリアル [ 戸森しるこ ]
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5年生のクラス替えでアスカ(飛鳥井渡)とリアルは同じクラスになった。二人の家はお隣さんだったがそれほど仲が良いわけではない。
リアルは運動も勉強もできるクラスの人気者でリーダー的な存在だ。アスカはそんなリアルと自分を比べてしまい少し苦手だった。
そしてこのクラスにサジという転校生が入ってきた。サジはきれいな顔の美少年だった。
リアルは転校生にも親切で優しい。サジもそんなリアルに魅了されて行くのでした。
3人はいつも一緒にいるようになった。
合唱祭では指揮者は当然リアルが選ばれた。
そしてリアルの提案でピアノはアスカがひくことになったのだ。
アスカよりも上手に引ける子が学校に来ていないので、最初はその代理だったが、少しずつ伴奏が楽しくなってきた。
合唱祭の結果は2位。アスカは大変満足だった。
7月になると、リアルがボーっとすることが増えた。それは弟のリズムが亡くなったのがその時期だからだった。
そんなある日、リアルが夜になっても家に帰ってこなかった。
リアルはお父さんの写真感を継ぐと言ったことに、お父さんは反対し喧嘩になってしまったのだ。
リアルは大人が世転ぶことを予想して行動してしまう。でもアスカはそんなリアルに『もっと自分を出していい』と伝えた。
夏休みの林間学校。夜の自由時間にホテルのベンチでアスカとリアルとサジは語り合った。
リアルが話したのは弟が死んだ時のこと。
4年前に家族で海水浴に行き、弟の世話を任せれていたリアルは砂遊びに夢中になっているとリズムは海に溺れてしまったのだ。
その事故がショックで母親はリアルから離れて暮らしているらしい。
リアルが背負う物はとても重いものだったのだ。
普段はお調子者のように明るくふるまうリアルが、実は誰も傷つかないように周りに気を使っていたのだ。
そしてサジはもうすぐ外国に引っ越してしまう事を打ち明けました。
サジはリアルが好きでした。サジは男の子を好きな男の子だったのです。
アスカはそのことに気付いていたので、内緒でリアルにそのことを伝えます。
そして引っ越しの日、リアルは遅れてやってきました。
センベツにと、3人が映った写真と銀のスプーンをサジに渡しました。サジはうれし泣きをして2人と別れたのでした。
夏休みが明け、リアルはお母さんに会ってきたことをアスカに話しました。
そしてサジがお母さんのところまで行ってくれていたことも。2人はいつかサジに会いに行こうと話すのでした。
■友情と恋愛。そして性に関する問題。
児童書にしてはすこし難しい部分もあるように思える『ぼくたちのリアル』は、それぞれの視点に立って考えてみると感想文を書きやすいかもしれません。
自分にコンプレックスを抱え、何でもできてしまうリアルを羨ましくおもうアスカ。きっとそんな子供はたくさん居ます。
誰にでも優しく何でもできてしまうけど、心には深い闇をもったリアル。明るい性格のリアルが抱えていた問題に触れた時、アスカは大きく変われ、またリアルを本気で好きなサジはリアルのために自分に出来ることをやろうとします。
そして、打ち明けることのできない、同じ姓の人を好きになってしまうサジ。今では芸能界などでカミングアウトするひとが出てきたことで割と知られていることではありますが、実際小学生で素直に打ち明けられる子供などいないでしょう。
それによって偏見や差別を受け傷つく人がいることを知り、どう接することが良いのか、考える良い機会になるかもしれません。
いかがでしょうか。
5年生にもなると選ぶ本はだいぶ内容が濃く難しい描写のものが多くなってきますが、長い夏休みの間にそんな1冊を選ぶことはとても良い経験になると思います。
これから色んな人に出会い関わる準備を本を通じて得ることもできますし、また死に対しても簡単にとらえず、しっかりと理解していく大切な時期でもあります。
今年の夏休みの読書感想文は、人の心に触れることの出来るこの3冊をお勧めします。
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