コンクールの日曜劇場【ブラックペアン】は言わずと知れたアイドルグループ嵐の二宮和也が演じる主人公渡海の物語です。
原作を読んでいらっしゃる方は、クライマックスがハッピーエンドではない事はご存知だと思いますが、ドラマはオリジナルストーリーも追加されているので毎回見どころがあります。
またドラマには原作には登場しないキャラクターもおり、そして手術の臨場感や腕はピカイチだが謎めいた渡海先生の過去や過激な発言など、毎週日曜日になるとワクワクとハラハラが止まりません!
今回は、幼少期より僧帽弁閉鎖不全症を患い闘病していた島野小春をカテーテルを用いてスナイプ手術をするという方法で大成功を収めたはずに思われたはずだったが、塞いだはずの穴が感染症を起こしておりそれを取り除かなければいつ心不全になってもおかしくないという極めて危ない状況になった、というところから始まります。
そして前回の予告に新型医療ロボットダーウィンという名前が出ていましたね。今回の手術でそれが用いられるわけですが、結果はどうだったのでしょうか。
島野小春の感染症は論文の発表に大きく関わることから、このまま退院させるようにと西崎教授に言われた高階ドクター。
しかしそれではいつ心不全を起こして命の危険にさらされるか分からない。高階は葛藤した。
そんな高階をあざ笑うかのように、渡海からは小春ともどもさっさと病院から出て行けと罵られる。
高階は悩みに悩んだ末、一度は切り捨てられた西崎に頭を下げ、新型医療ロボットのダーウィンを貸してほしいと懇願する。
西崎は時期理事長戦のためだけに、ダーウィンを貸すことを了承。しかし手術は西崎が指名する松岡が行うことが条件だった。
そして東城大学にそのダーウィンがやってきた。
しかし手術を担当する松岡は傲慢な人間で、念入りに手術練習をすることもなく、そして西崎に切り捨てられた高階を笑いながら罵倒するのであった。
松岡の様子を見て、高階はあることを決意する。それはいざとなったときのために渡海にダーウィンのマニュアルを渡すことだった。
渡海はそれを断る。しかし高階は渡海に託すようにマニュアルを置いていくのであった。
そして手術当日。予定通りオペは始まる。何事もなく進んでいたかのように思えた手術だったが、突然鉗子が動かなくなり焦りだした松岡。
なんとか鉗子を動かそうと無理にダーウィンを操作したため出血が一気に増えた。
小春は特殊な血液型を持っており血が固まりにくい。そのためこれまで開腹手術は出来なかったのだ。
その小春が大量に出血している。高階は意を決して渡海を探しに走ったのであった。
またその直前には新人看護師の花房が渡海を呼びに仮眠室に向かっていた。そこで花房は机に置かれた大量の書き込みがしてあるダーウィンのマニュアルを発見するのであった。
渡海は決して小春を見捨てたわけではない。しっかりとダーウィンを検証し多り得る問題に先に気付き行動していたのだ。
その後、高階は看護師の猫田と歩く渡海を見つけ、小春を救ってほしいと真剣な思いをつたえる。
渡海はたった一言「行くぞ」と声を発する。それはまるで強大な敵に挑もうとする3人の仲間が戦場に向かうような、そんな意思と覚悟に満ちたシーンだった。
手術室に入り、高階は松岡にどくように怒鳴る。そして渡海との絶妙な連携プレイを見せるのであった。
まずは問題となっているダーウィンの先端につけられた鉗子を取ること。
2人の息の合ったプレイでそれは瞬く間に終わり、ここからが本番。
渡海は小春の手術に備えて、出血に耐えられない小春の手術には血が必要だと判断していた。
その為、新薬の造血剤を用いて小春自身の血をストックしていたのだ。
それをこの手術につかう。看護師の猫田は30分は持つと渡海に伝え、ここからが臨場感あふれる手術の始まりです。
問題の感染源を瞬く間に取り除き手術は成功。手術中の渡海の指示はご存知の通りの攻撃的な発言満載ですが、それでも手術は成功するのです。
また、手術を失敗した松岡にはお決まりの「退職金1000万で助けてやる」が言い渡されましたが、あまりにひどいキャラクターだったのでこちらはスカッとしました!
そして、礼を言う高階に「これくらい当然だよ。医者だからな」とまるで松岡にあてつけるかのように発言して手術室を後にした渡海でした。
その後懸命にリハビリに励む小春。また約束のサッカーを一緒にやるために病院の庭で練習する高階。
5話は平和に終わるのか、と思いきや、佐伯教授のもとにあるデータが届く。
データは渡海が所有する、体にペアン(止血用鉗子)が残されたレントゲンのデータだった。
■これからはダーウィンを用いた手術が次々と展開される?
次回予告はなんと東城大学に渡海の母親が運ばれてくるといった内容だ。
母親には腫瘍が見つかり、緊急手術で腫瘍は取り除かれ危機を脱するが、見落としがあることが判明。
取り残された腫瘍を佐伯が再執刀するという案を渡海は拒む。
また高階はダーウィンの治験のための患者を探していた。そこへ佐伯は高階に渡海の母親の主治医となるように言い渡される。
最初の治験患者を高階は渡海の母親に目を付けたのであった・・・。
ドラマもついに次週で6話となりますが、次回は渡海の母親が患者となることから少しずつ終わりに向かっていくのではないでしょうか。
5話のラストに佐伯のもとに届いた脅迫ともとれる体内にペアンが残された患者のレントゲン。
これが意味するものは何なのだろうか。
これと同じものを持つ渡海の行動の可能性が高い事から、渡海と佐伯には何か暗い過去があるように思えますね。
この話のクライマックスは原作を読まれている人にはわかることですが、いわゆるハッピーエンドではないのかもしれません。
■佐伯と渡海の父親は同僚であり親友だった
かつて佐伯が執刀した患者に【飯沼達次】という男性がいた。
全てはここからはじまったのだ。
それは17年前のこと。渡海の父、一郎は医師で佐伯とは親友だった。
ある時佐伯が不在の時に急患が運ばれてきた。それが飯沼達次だった。
一郎は飯沼の体内にペアンが取り残されていることを発見する。
そしてこの患者に手術を行ったのは佐伯だったのだ。
体内にペアンを置き忘れるということは医療ミスを犯した可能性が高い。
しかし患者の命を救うために一郎はペアン摘出手術を行うべきだと主張した。
だが連絡をとった佐伯からきた返事は「ペアン摘出すべからず」との電報だったのだ。
一郎は親友が患者の命よりも自分の立場を守ることを選んだのだとショックを受けるのであった。
その後事実を知る一郎は病院から追い出され、失意のあまりその後亡くなったのです。
佐伯はこの時から実力を認めれれており、病院は佐伯をかばい、事実をしる一郎を闇に葬ったのでした。
渡海は佐伯の医療ミスと父への裏切りを知り、佐伯の本性を暴くため、父の復讐のために東城大学に入ったのでした。
■復讐の時がきた
目前に理事長戦を控えた佐伯は医局員の8割を連れて国際シンポジウムに参加し公演を行うことになった。
高階は佐伯に留守を任された。また渡海や関川、世良も留まるように言われる。
そして留守中に何かあってはいけないと期間中の手術は最小限に控えるように決められた。
この状況はまさに17年前のあの時と同じだった。
渡海はこの時を待っていたのだ。復讐がはじまる。
佐伯の留守3日目、佐伯がシンポジウムで特別公演をいていしていた日、東城大学では1件のスナイプ手術だけが行われる予定だった。
そこへ、ある患者が緊急搬送されてくる。
この患者はかつて佐伯の手術で体内にペアンが残されていた飯沼だったのだ。
渡海は彼がその患者だとすぐに気付いた。そして腹部の痛みを訴える患者をレントゲン検査すると、ペアンが映っていた。
高階はペアン摘出手術を行うと決断する。執刀医が高階で第一助手を渡海。ペアン摘出手術が行われることが決まった。
その状況を伝えようと世良が佐伯に連絡をする。
「飯沼さんが緊急手術になります。腹部にペアンが留置されたままなんです」
公演前の佐伯は声を荒げて手術を止めるように言う。
「ペアンを取り出すのはやめろ!とんでもないことになるぞ!」
そして電話を代わった渡海は宣言した。
「親父が見つけた医療ミスの証拠を時を経て息子の俺が取り出し、あんたのミスを明らかにしてやる」
そういって渡海は電話を切った。
■ペアン摘出手術がはじまる
飯沼が手術室に運ばれてきた。さっそく手術は開始される。長年体内に取り残されたペアンは組織との癒着が激しく摘出手術は困難を極めた。
高階と渡海この二人をもってしてもペアンにたどり着くまでに7時間も経過したのだ。
ついにペアンを摘出、という時に手術室に佐伯の声が響いた。
「やめろ!!」
渡海は佐伯の言葉を無視して体内のペアンを抜き取った。
その瞬間。大量の血があふれ出してきた。
佐伯は二人に言う。
「外科医としてのプライドがあるなら、お前たちの技量を尽くし、私が手洗いを済ませるまでに止血して見せろ」
佐伯はこうなることを分かっていたかのように落ち着いて手術室を出ていった。
しかし、高階と渡海二人の腕をもってしてもあふれ出る血を止めることは出来なった。
そこへ戻ってきた佐伯が語る。
飯沼の体内のペアンは置忘れではなく、あえて残してきたのだと。
■17年前に何があったのか
17年前。飯沼の手術を担当した佐伯は、術中飯沼の出血を止めることがどうしてもできなかった。
その為ペアンを外すことが出来ないまま手術を終えたのだった。
しかし、佐伯はこの事を納得してもらえる説明をする自信がなかったのだ。
結局後でフォローをしようと、事実を隠したまま飯沼を退院させてしまったのである。
そして、不運なことに佐伯の留守中にその事件は起きた。
当時佐伯がいたのはスペインの田舎。そのため電報でしかやり取りができず、詳細を一郎に伝えることが出来なかったのだ。
一郎には帰国したらきちんと説明しようと思っていた。親友の一郎なら分かってくれるはずだから。
だが佐伯が帰国したころには一郎は左遷され病院にはもういなかったのだ。
そして真実を話せないまま一郎が他界していたことを知った佐伯は激しく後悔した。
その後、佐伯は一郎には医学生の息子がいることを知った。佐伯は渡海を引き受け一人前の外科医に育て上げることでその罪滅ぼしをしたかった。
佐伯がいつも手術道具として持ち込んでいるブラックペアンを渡海は受け取った。
それはカーボン製の真っ黒いペアン。
このペアンならレントゲンに映らない。火葬されても遺体と一緒に燃えてしまい証拠は何も残らないものだった。
このペアンは佐伯の弱さが作ったものだったのではないだろうか。
17年前のようなことは決して起きてはならない。しかし、どうしようもなかった時にと忍ばせていたのだ。
佐伯はこのブラックペアンを使う時が自身の外科医としても幕引きだと決めていた。
佐伯はこのブラックペアンを使い、飯沼の出血を止め、そして今回はこのブラックペアンを飯沼の体内に残したまま閉じられ手術は終わった。
手術後、佐伯は全ての責任を取り辞職すると言った。
渡海はそれに激しく反論した。
「辞めれば済むと思っているのか!?」
強制的に病院を追い出され苦しんだ父親や自分に対する幕引きが、佐伯の辞職ではやってられない!
渡海は不服そうに声を荒げて手術室をでていったのである。
そんな渡海をみて世良は、渡海は一人で責任を負うつもりなんだと察した。
渡海を止める世良に、渡海は自分の想いをたったその一部でも世良に話せたことだけで十分だったという。
「自分の想いをすべて他人に伝えることなんで誰にもできないのさ。」
「俺だってあんなに近くにいても親父の事も佐伯のジイさんの気持ちも全然分からないまま生きていたんだしな」
「世良、立派な外科医になれよ」
渡海はそう言って去っていった。
その後渡海の姿をみたものはいないという。
いかがでしょうか。
ドラマにはオリジナルストーリーもたくさん含まれており、原作とは違った見方ができます。
しかし、根本には佐伯に対する父親の無念を晴らすための復讐であることは変わらないようです。
結末が、原作通りならやはりそれはハッピーエンドではないのかもしれません。
しかし、長年復讐だけに生きてきた渡海は真実を知ることが出来てその心は開放されたのではないでしょうか。
その後、渡海がどこかでまた医師として活躍してくれていたら、と思う気持ちが原作を読んだ時に残った感想です。
人を、佐伯を信じることが出来なかった渡海にも、そして17年前の手術の詳細を患者にも一郎にも言えなかった佐伯の弱さが招いたこの物語。
彼らはもう十分な代償を払ったのではないでしょうか。
ドラマでは次回6話が放送されます。
これもオリジナルストーリーですが、今回の患者は渡海の母親です。
どのようにストーリーが進んで行くのか今後も楽しみですね。