昨年7月に放送が開始された進撃の巨人season3 Part.1ではウォール・マリア奪還のためついに作戦が実行されるところまで放送されました。
そして2019年4月29日からは待望の進撃の巨人season3 Part.2の放送が開始されました。
エルヴィンと新兵の命を犠牲に獣の巨人を追い詰めたリヴァイ兵長だったが、一瞬のすきをつかれとどめを刺すことが出来なかった。
またアルミンは自分の命をかけて超大型巨人の撃破に成功した。勝利の犠牲はあまりにも大きくエレンは動かなくなったアルミンを見つめるしか出来なかった。
このサイトでは進撃の巨人season3 Part.2 55話「白夜」についてまとめました。
「こうなること、分かっていたはずなのに…でも、お前の力に頼るしかなくて」
「アルミン、お前はどうして逃げないんだよ…!」
無念を押し殺して涙を流すエレンの後ろで何か崩れる音がした。
噴煙が去るとそこにいたのはジークを背に乗せる四足歩行の巨人がいた。
「巨人?」
エレンは自分の前に移動した四足歩行の巨人に対しベルトルトを盾にした。
「それ以上近づいてみろ!こいつを奪われるくらいなら殺すからよ!!」
エレンは四足歩行の巨人が背負う男に巨人化の痕を見つけうろたえる。状況からして彼が獣の巨人であると推測した。
「お前が、エレン・イェーガーか?」
エレンは敵の狙いが自分の中の巨人の力であることを知っているため、ベルトルトを奪われないためにその首に刃を立てた。
「全然親父と似てないな」
「何?」
「信じて欲しい。俺は、お前の理解者だ」
「俺たちはあの父親の被害者。お前は父親に洗脳されている」
「とうさん?」
エレンは父の面影を感じるジークをみて戸惑う。
そしてジークは壁の上に立つリヴァイの姿をみて驚愕した。
「おい、嘘だろ?ここまで追ってきやがった」
リヴァイは自分に差し向けられた巨人を殲滅しジークを追ってきたのだ。
壁を下りて向かってこようとするリヴァイを見たジークは引き際を悟る。
「わかったよリヴァイ。痛み分けで手を打とう」
「ベルトルト、悪いがお前はここまでらしい」
「エレン、いつかお前を救い出してやるからな!」
そう言い残すとジークと四足歩行の巨人は家の屋根をつたい去っていった。
「逃げた?」
「兵長!!」
目の前に降り立ったリヴァイにエレンは声をかける。
「今のでガスが完全に切れた」
「奴を追う!ガスと刃すべてよこせ!!」
「急げ!!」
エレンは自分の立体機動装置からガスと刃を外そうとすると背後で息を吹き返す音がした。
エレンは恐る恐る振り返った。
「ライナー。この左胸に入っていた鉄のケースは何だい?」
「君が手足を切り落とさる前、最後の力で取り出そうとしたものだぞ」
「自決用の薬?それとも爆弾か」
ハンジはライナーの手足を切り落とし視界を塞いで尋問した。
「手紙・・・」
「ユミルの手紙だ」
「クリスタに必ず渡して欲しい」
そう言うライナーの声はもう少しの力も残っていなかった。
「中身を検めてからね」
「さて、聞きたいことは山程あるんだけど」
「君の口も鎧のように硬そうに見える」
「君は私達が知りたいことを教えてくれるかな?」
ハンジは剣を構えた。
ライナーの答えはノーだった。
「ありがとう。覚悟が出来ていて助かるよ」
ハンジは躊躇うこと無くライナーの喉元に刃を立て首を落とそうとしたが、ジャンが止めた。
「待ってください!!良いんですか?その力、奪えるかもしれないのに」
ジャンはこの作戦の前にエルヴィンが語った巨人の力を継承する薬品の事を言っていた。
この薬を使えば瀕死の兵士をも助けることが出来るのだと。
ただしこの薬はたった1剤しか無く、使用決定権はリヴァイ兵士長に委ねられている。
「私は条件が揃ったとは思わない」
「今はリヴァイやあちらの状況が分からない」
「それを確認する時間も余裕もないと思うね」
「何故ならこいつらの底力は我々には到底計り知れないからだ」
「首をはねてもまだ安心出来ないよ」
そういうとハンジは刃を持つ手に力を込めた。
しかしジャンはそんなハンジをらしくないと言う。
「分からないものは分からないと蓋をして、この先どうやったら俺たちは巨人に勝てるんですか」
「俺たちが敵を計り知れるようになるのはいつですか」
ハンジは現状を見極めるためにミカサにのガスの残量を聞いた。
「もうほとんど残っていません」
「ですがエレンとアルミンの元への片道分はあります」
ハンジは自分のガスよりも多く残っている事を確認してミカサにエレン達の状況を見に行くように命令した。
「ミカサ、すぐにエレン達の状況を見てきてくれ」
「そしてガスを補給しリヴァイから注射薬をもらってこい」
「何らかの理由でそれが叶わない場合には信煙弾を打て。それを合図にライナーを絶つ」
ミカサは即座に立体機動装置を使ってエレン達の元を目指した。
「ハンジさん、俺は」
「私の判断だ。君のはただの判断材料」
ハンジはジャンに責任を負わさないためにそう言った。
またエレンの元にたどり着いたミカサは瞬時に状況を読み涙した。
「やった!!やったぞ!!」
「アルミンが息を吹き返した!!」
「頑張れ!!」
「もっと息吸え!!」
「兵長!注射を早く!!!」
エレンはリヴァイに巨人化する薬の使用を求めた。
「アルミンを巨人にしてベルトルトを食わせるんですよ!」
「早く注射をください!!」
「ああ」
リヴァイは注射薬が入ったケースを取り出した。
またやっとすべての状況を理解したミカサは急ぎ信煙弾を放ちハンジに状況を伝える。
ジャンはミカサの放った信煙弾に気づいたその瞬間、近づいてくる大きな足音に目を向けた。
「ハンジさん!!!」
ジャンは即座に立体機動装置を使いハンジを助ける。
「まずい!!」
ハンジはこの状況で巨人に襲われる事に焦ったが、敵の目的がライナーであることを直後悟る。
四足歩行の巨人は既にライナーを咥えていたのだ。
「ライナーを奪われました!ハンジさん!!」
コニーは慌てて現状を伝え四足歩行の巨人を追おうとしたがハンジはそれを止めた。
「コニー!追わなくていい!!」
「もうガスは僅かしか無い。返り討ちにされるだけだ」
ジャンは自分が余計なことを言ったがばかりにライナーを取り逃がしてしまったと己を責めた。
「俺のせいです」
「俺が取り返しの付かないことを・・!!」
「私の判断だと言ったろ」
「エレンたちと合流しよう」
リヴァイが手に持っていた注射薬の箱をエレンに渡そうとした瞬間、残った力を振り絞って新兵のフロックがエルヴィンを背負って現れた。
「リヴァイ・・兵長・・・」
「やっと追いついた・・・」
「エルヴィン団長が重症です。腹がえぐれて内蔵まで損傷しているため血が止まりません」
「例の注射が役に立てばと思ったんですが、どうでしょうか!?」
その瞬間リヴァイはエレンに手渡そうとしていた注射薬を引っ込めた。
そしてリヴァイはエルヴィンを横たわらせた。
「まだ息がある」
「まだ生きてる」
「この注射はエルヴィンに打つ」
その言葉を聞き、エレンはリヴァイに怒りをぶつける。
「さっきアルミンに使うって・・・」
「俺は人類を救える方を生かす」
戸惑いながらもミカサは剣を抜いた。
そして壁の上ではジークが救い出したライナーを下ろし壁の中を見下ろした。
「ライナーお前は運が良かったね」
「お前ら、自分で何をやっているのか分かっているのか?」
「エルヴィンを、調査兵団団長を見殺しにしろと言っているんだぞ」
「時間が無い。邪魔をするな」
エレンはリヴァイの手を掴む。
「エレン、私情を捨てろ」
「さっき、注射をすぐに渡さなかったのは何なんですか?」
「エルヴィンが生きている。その可能性が頭にあったからだ」
「フロックが瀕死の団長を運んでくるなんて全くの予想外だったはずです」
「その通りだが、ここにエルヴィンが現れた以上エルヴィンに使う」
エレンが手に力を込めるとリヴァイはエレンを殴り飛ばした。
ミカサが即座にリヴァイに掴みかかり押し倒した。
「力が弱っている」
「力ずくで奪える!!」
「お前らも分かっているはずだ。エルヴィンの力無しに人類は巨人に勝てないと!」
フロックもリヴァイの言葉に同調し、馬鹿な真似をやめるように言った。
「アルミンがいなくたって無理だ」
屋根の端まで飛ばされたエレンが会話に割り込んで言った。
「だってそうだったでしょう?トロスト区を岩で塞いで守ることが出来たのも」
「アニの正体を見抜いたのも」
「夜間に進行することを思いついたのもアルミンだ」
「潜んでいたライナーを暴き出したのも」
「ベルトルトを倒すことが出来たのも」
「全部アルミンの力だ!」
「人類を救うのは俺でも団長でもない!アルミンだ!!」
「そうだろミカサ!!」
「渡してください」
ミカサは注射器の箱に手をかける。
リヴァイは既にミカサに抵抗する力も残っていない。
フロックは立ち上がり人類を救うのはエルヴィンだと再度言った。
「黙ってて!!」
「黙ってられるか!お前らばっかりが辛いと思うなよな!!」
「まだ知らないだろうけど、あの壁の向こう側にもう生きている兵士は一人もいねえ」
「獣の巨人の投石でみんな殺されたんだ」
「誰も助からないと思った」
「でもエルヴィン団長だけは違った」
「あの状況で獣の喉笛に食らいつく算段を建て実行した」
「みんな作戦通りバラバラに砕けたよ」
「最後に感じたことはきっと・・恐怖だけだ」
フロックが悲惨な戦場の中で見つけたエルヴィンは生きていた。
その時フロックはエルヴィンにとどめを刺そうとしたのだ。
だがフロックはエルヴィンには多くの兵士の死を背負いもっと地獄を与えたいと思ったのだ。
「そしてわかったんだ」
「巨人を滅ぼすことが出来るのは悪魔だ」
「悪魔を蘇らせる」
「それが俺の使命だったんだ」
「それがおめおめと生き残っちまった、俺の意味なんだよ」
「だから邪魔するなよ!!」
フロックはミカサに飛びかかり、ミカサはフロックに剣を向けようとした。
リヴァイは身を起こしそれを止めようとするが間に合わない。
ミカサを止めたのは駆けつけたハンジだった。
同時に駆けつけたジャンらは状況を見て驚愕した。
ミカサの拘束から逃れたリヴァイは急ぎ箱の蓋を開ける。
ハンジを振り切る事が出来ないミカサは泣き叫んだ。
「ミカサ!私達にはまだエルヴィンが必要なんだ!!」
「あの壁の中で希望の灯火を絶やしてはならないんだよ」
「それはアルミンにだって、出来る!!」
「確かにアルミンは逸材だ。だがまだエルヴィンの経験と統率力が」
ミカサはハンジの手首を抑え込むがハンジは自分の想いを伝えた。
「私にも生き返らせたい人がいる」
「何百人も」
「調査兵団に入った時から別れの日々だ」
「でも、わかっているだろ?」
「誰だっていつかは、分かれる日が来るって」
「とてもじゃないけど受け入れられないよ」
「正気を保つことさえままならない」
「辛い。辛いよ」
「分かっているよ」
「それでも前に進まなきゃいけない」
ハンジの気持ちを知りミカサは抵抗をやめ脱力した。
そしてリヴァイは注射の用意をして立ち上がる。
その足首をエレンは掴んでとめた。
「兵長」
「海って知ってますか?」
「いくら見渡しても、地平線の果まで続く巨大な湖だって」
「アルミンが・・・」
しかしフロックがそれを遮る。
「この壁の向こうにある海をいつか見に行こうって・・」
「でも、そんなガキの頃の夢を俺はとっくに忘れてて」
「母さんの仇と、巨人を殺すことか、何かを憎むことしか頭になくて」
「でもこいつは違うんです」
「アルミンは戦うだけじゃない」
「夢をみている!」
「全員ここから離れろ!!」
「ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる」
リヴァイとエルヴィン、そしてベルトルトを残し皆その場を離れた。
「まったく・・どいつもこいつも」
「ガキみてえに喚き散らしやがって」
リヴァイはエルヴィンの腕に注射器を当てながら過去を思い出していた。
エルヴィンの夢、アルミンの夢、そしてケニー・アッカーマンの想い。
だがその瞬間エルヴィンはリヴァイの手を振り払うかのように手をあげた。
エルヴィンはかつて教団に立つ父に対し質問をしていた。
その姿を見てリヴァイは再び過去を思い出す。
「夢を諦めて死んでくれ。新兵たちを地獄に導け」
「何かに酔っ払ってねえとやってられなかったんだな」
「獣の巨人は俺が仕留める」
「リヴァイ・・ありがとう」
リヴァイは何か決意したかのようだった。
ベルトルトは目を冷ました。
そして目前に迫るのは金髪の巨人だった。
ベルトルトは恐怖のあまり涙を浮かべる。
視界に入ったエレンたちを見て、助けを求めたのだった。
「みんな!助けて!!」
「アニ!ライナー!!」
ベルトルトの叫びは虚しくそのまま巨人に食われていった。
「兵長」
「どうしてですか?」
フロックはリヴァイに聞いた。
そこには静かに眠っているようなエルヴィンの姿があった。
「こいつを許してやってくれないか?」
「こいつは悪魔になるしか無かった」
「それを望んだのは俺達だ」
「その上、一度は地獄から開放されたこいつを再び地獄に呼び戻そうとした」
「だがもう、休ませてやらねえと」
「エルヴィン、獣を仕留める約束だが、まだ先になりそうだ」
ハンジはエルヴィンの瞳孔を確認し、既に息をひきとったことを伝えた。
「そうか・・・」
いかがでしたか。
皆を遠ざけリヴァイはアルミンに巨人化の薬を使った。
エルヴィンを長き地獄から開放することを選んだのだ。
アルミンは知性のない巨人になると目の前のベルトルトを捕食しエレンと同じ自分の意思で行動できる巨人になった。
調査兵団の実質的な壊滅と、エルヴィンの死の影響は計り知れないものだろう。
しかしエレンたちはついに目的の地下室にたどり着くことが出来る。
次回進撃の巨人season3 Part.2 第56話は「地下室」です。放送が楽しみですね!