咽頭結膜炎(プール熱)は子供がかかる三大夏風邪の一つと言われています。
感染ルートとして多いのが夏の期間にプールの水を介して人から人にうつるため、プール熱という名前がつきました。
このサイトでは咽頭結膜炎(プール熱)の流行時期や症状と潜伏期間、そして効果的な予防法とかかったときの対処法についてまとめました。
咽頭結膜炎(プール熱)はアデノウィルスが原因で、主に飛沫感染と接触感染が原因で感染します。
しかし、夏季期間はプールの水を介して人から人へうつり、流行が拡大することからプール熱とも呼ばれます。
ウイルスそのものは年間を通して存在しますが、流行は主に6月下旬から夏季期間の間がピークになります。
また同じ時期に流行する『ヘルパンギーナ』『手足口病』との違いについて、それぞれ症状や潜伏期間など詳細をまとめました
■咽頭結膜炎(プール熱)の症状と潜伏期間は?
プール熱の潜伏期間は大体2日~2週間程度です。
喉の痛みは咽頭炎、目の充血は結膜炎から起こるもので、39℃前後の高熱が数日から1週間ほど続きます。
高熱のため、頭痛を起こしたり食欲不振が1週間ほど続くこともあります。
また眼の症状は、充血し、光がまぶしく感じたり、涙が多く出たりすることがあります。
プール熱はアデノウィルスのため、直接治す特効薬はありません。
もしも症状が重く出た時は、症状を抑える薬の処方はしてもらえます。
我慢をせず、医療機関を受診し解熱鎮痛剤や結膜炎を抑えるステロイド入りの目薬や抗ヒスタミン薬などの処方をしてもらいましょう。
■ヘルパンギーナと手足口病の症状は?
・ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは6月から初夏にかけて流行し、特に乳幼児に多くみられるウイルス性の感染症です。
ウイルスは主にコクサッキーウイルスA群が原因となっていますが、ウイルスの型が複数あるため何度もかかることもあります。
稀ですが、大人にもうつることがありますので感染予防はしっかりとしましょう。
潜伏期間は3日~6日ほどで、39度以上の高熱が数日続き、喉が赤く腫れて小さな水泡がたくさんできます。
この水泡はだいたい2日~3日で潰れて黄色い潰瘍になります。
喉の痛みが強く、乳児は食事や水分補給を嫌がり脱水症状を起こす可能性もあります。
またヘルパンギーナにも特効薬はなく、治す薬というものはありませんが、症状を抑えるために鎮痛剤などを処方してもらうことはできます。
・手足口病
手足口病は大体7月頃にピークを迎えるウイルス性の感染症です。
原因のウイルスにはエンテロウイルスとコクサッキーウイルスがあり、種類が複数あることから1度かかったからと言ってもうかからないということは無く、何度でも感染し発症する可能性があります。
患者の大多数が未就学児で全体の80%を占めます。なお、稀ですが子供から大人に感染することもあります。
潜伏期間は3日~6日程度です。口の中や手のひら、足の裏や甲などに水泡が現れ数日間発熱することがあります。
水泡は大体1週間程度でなくなりますが、1~2ヶ月後くらいに手足の爪が剥がれることがあります。
大事になる事はあまりなく、すぐに新しい爪が生えてくるので心配はいりません。
手足口病で一番心配なのが、口の中に出来た水泡が潰れると口内炎が出来、痛みのために食事や飲み物を嫌がることがあることです。
夏場のため脱水症状を起こす状況には十分気を付ける必要があります。
特効薬はないため、治す薬というものはありませんが、症状を抑えるために鎮痛剤などを処方してもらうことはできます。
また稀ですが脳炎を起こし重症化することもあります。様子がおかしいときは速やかに医療機関の受診をしましょう。
■エンベロープウイルスとエンベロープが無いウイルスについて
ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱はいずれも飛沫感染・接触感染でうつりますので保育園や幼稚園では大変流行しやすいウイルスです。
そしてこの3つの感染症に共通しているのが、エンベロープが無いタイプのウイルスだということです。
ウイルスは構造から、エンベロープのあるウイルスと無いウイルスに分けられます。
エンベロープとは脂質性の膜です。そのため脂質に作用するものには弱く、ダメージを受けるとエンベロープウイルスは失活します。
それに対し、エンベロープが無いウイルスは同じ対処法では効果が出にくい傾向にあるのです。
この事から分かるように、エンベロープウイルスにはアルコールや消毒剤が効果的ですが、エンベロープが無いウイルスには効きにくいということになります。
また、手を介して口から侵入して腸管に感染するウイルスは胃酸や胆汁酸にも強いエンベロープが無いウイルスになるのです。
エンベロープが無いウイルスの代表的なのがノロウイルス・ロタウイルス・ポリオウイルス・アデノウィルスがあげられます。
咽頭結膜炎(プール熱)を含め、これらの感染症は飛沫感染と接触感染が主な感染ルートです。
大人であればマスクをすること、こまめな手洗いやうがいで予防効果が望めますが、乳幼児となるとなかなかそうはいきません。
そして、上記にも書きましたがこれらのウイルスには一般的はアルコールや消毒剤での除菌・殺菌効果があまりない事も重要なポイントです。
ウイルスの数は無数ですが、そのタイプを知っておく事で使用すべき殺菌・除菌アイテムを区別することが出来ます。
先に書いたエンベロープを持たないウイルスには酸性のアルコール消毒剤が有効です。
そのため、子供たちの生活環境の清掃には、酸性アルコール消毒剤を使用し、特に『手』がよく触れる場所は念入りな洗浄と除菌を心がけましょう。
また子供が少し大きくなってきたら、やはりマスクの着用を練習したり、うがいと手洗いを習慣化するようにする事で予防効果はぐんと上がります。
いずれの感染症も高熱や痛み、痒みなどの不快な症状が出ます。かからないに越したことはありませんので流行する季節にはしっかりと予防を意識するように
■二次感染予防
咽頭結膜炎(プール熱)は喉から約2週間、便から約30日間ウイルスが排出されます。
乳幼児の場合はおむつ替えをした後の手から介して感染が広まるため注意が必要です。
おむつ替えの際には出来るだけビニール手袋を使ったり、直後の手洗い消毒は絶対に欠かしてはいけません。
また、目やにも同じく感染源となります。患者と同じタオルを使うのは避け、また拭き取ったティッシュは密閉型のごみ箱やビニール袋に入れて捨てるようにします。
ウイルスは基本熱や有効な消毒剤で不活化しますが、唾液や目やになどが付着したものは洗濯機で洗っても感染する可能性があります。
そのため洗濯は他のものと分けるなどの対処が必要です。
症状が出ている時や発症したばかりの頃は感染力が強いため、細やかな注意が感染拡大予防につながります。
■それでもかかってしまったら
どんなに予防をしていても、子供同士で集団生活をしている環境だとどうしてもうつってしまう事があります。
くしゃみや咳による飛沫感染、そして感染者が触れたおもちゃや食器などに触れる接触感染。
どちらも小さな子供に予防することは難しいのが現状です。
では、実際に咽頭結膜炎(プール熱)にかかったらどうしたら良いのでしょうか。
咽頭結膜炎(プール熱)にはそれを治す薬はありません。症状が重く感じた時は医療機関を受診することで解熱鎮痛剤や目薬、抗ヒスタミン薬などの症状を抑える薬をもらうことはできます。
ただし特効薬があるわけではないのでそれで治るわけでありませんが、症状の緩和に役立てて不快な期間を乗り切りましょう。
食事や水分は、喉に痛みがあるため刺激のある食べ物や飲み物は避けるようにしましょう。
普段与えることの多い、100%の果物ジュースなどは喉にしみやすいです。
また冷たい方が飲み込みやすいため、冷えた麦茶や牛乳などが比較的うけつけやすいです。
食べ物は喉の痛みがつらいときは栄養は意識せず、ゼリーやプリンでも構いません。冷めたおかゆやおじや、冷ややっこなども食べやすいです。
喉の痛みには通常の風邪と同じくうがいで不快感を抑えられます。定期的に行うようにしましょう。
保育園や幼稚園の登園の目安として、発熱・のどの痛みと腫れ・眼の充血と目やにが完全に消えてから2日間は経過をみましょう。
それまでの登園は感染の拡大させる恐れが有りますので控えるようにしましょう。
いかがでしょうか。
集団生活をしていたら避けることは難しい感染症ですが、それでもかからないに越したことはありません。
流行する季節になったら手洗いうがいなどの予防はもちろん、施設内での流行状況を小まめに確認し発症者がいる場合は酸性アルコール消毒剤を用いて、通園時の持ち物を含めた身の回りの消毒殺菌を徹底しましょう。
特効薬の無い感染症のためかかると自己治癒を待つしかありません。しっかりと予防をし今年の夏も乗り越えましょう。
また、かかってしまったときは二次感染の予防を確実に行うようにし、感染の拡大を防ぎましょう。