一昔前よりはずっと良くなったとされる障がい者の就労状況。
一般企業の雇用先が増えたこともあるが、就労支援施設が各地にできたことも大いに影響があるのだろう。
しかし、近年ではその就労支援施設の経営破綻問題が浮き彫りになっている。
結局障がい者は雇用先を失い、最悪の場合は給与さえ未払いなんてことも少なくはないそうだ。
どうしてこのようなことが起こっているのか、番組ではその問題点について紹介している。
2017年11月に広島県にあった[しあわせの庭]というA型の施設が経営破綻した。
当時事業所を利用していた112名の障がい者がこの破綻により突然の解雇を言い渡されたのだ。
そして今現在も給与は未払いのままとの事である。
■A型の施設とは
正式名は就労継続支援A型事業所。
この就労継続支援A型事業所は一般の企業では就労が難しい重度の障がいをもった人が働く施設の事である。
民間の場合、雇用主である事業者と雇用契約を結び、地域の最低賃金以上の給与が支払われる。
市の施設であっても、最低賃金以上の給与が支払われるのは同じだが、契約相手が市になる。
そしてどちらの施設であっても、国から助成金が支払われ事業所の運営に使われているのだ。
近年問題となっているのがこの民間のA型の施設だ。
国からの助成金を目当てに事業を経営していた事業所による乱立状態が指摘されたことから、厚労省は方針を強化する。
それは[助成金をそのまま利用者の給料にしてはいけない]というものだ。
その結果、施設は国からの助成金目当てで障がい者を大量に雇用し、事業所を運営することが出来なくなった。
障がい者を使った[助成金ビジネス]をしていた事業所は多数破綻していったのだ。
しかし一番の問題は、事業所が潰れ、突然解雇された障がい者たちの働き先がそう簡単に見つかるものでは無い事。
助成金を正しく使用してこなかった事業所にも問題はあるが、この方針について国の政策はもちろん、不透明で不可解な事業所運営の実態を調査し早期に改善方法を考えなければならない。
株式会社 仙拓の社長、佐藤仙務さんは10万人に1人が発症すると言われる難病を発症し重度の障がいを抱えている。
佐藤さんが自分で動かせるのは左手の親指だけだ。
7年前に同じように重度の障がいを抱える親友とともに企業し会社を設立させたのだ。
設立当初は名刺やホームページの作成を主に営業してきた。現在はテレビ電話を用いた高齢者サービスの開発に挑戦中だ。
■カウンセリング技法[回想法]のシステム化を目指す
障がい者が高齢者にカウンセリングを行う新たなシステムをつくり、高齢者が生き生きをしていた時代にタイムスリップさせる。
この回想法は介護予防や認知症予防になると大変注目されているのだ。
これを障がい者が取得することで、高齢者施設を利用してる人にカウンセリングし、そしてビジネスにもなる。
重い障がいがあっても働けるし稼げる。
常に前向きにビジネスを切り開く佐藤さんの障がい者による働き方革命は今後も気になるところだ。
もし自分が病気やケガで突然重い障がいを負ったときに、働き続けることは出来るのだろうか。
障がいを抱えてしまったことによる意欲の低下もさることながら、働くことにやりがいを見つけていけるのだろうか。
この4月から国は、一般企業に対し障がい者の雇用率の改正を出した。
社員50人以上の会社は障がい者の法定雇用率をこれまでの2.0%を2.2%に引き上げたのだ。
企業にとって障がい者を雇用し、また健常者とともに働ける環境をどのようにつくっていけば良いのか、様々な視点からみた就業環境を模索している。
またその一方では就業型支援事業者による突然の解雇で職を失う障がい者が次々に増えている事態についても考えていかなければならない。
まだまだ多くの課題を抱える障がい者の働き方改革は今後どのような展開を見せるのか注目したい。