近年、空前のメダカブームが到来しているのをご存知でしょうか。
私たちが知っているメダカとは、小さいころに家や学校で誰もが1度は飼ったことがあるであろう生き物です。
そのメダカがここにきて大変な人気を集めており、業者による品種改良や希少種の生産による価格高騰が話題となっています。
このサイトでは突如訪れたメダカブームの理由と背景、人気腫についてまとめてみました。
小川に行けば必ずいるメダカ。小学生の頃はよくオタマジャクシと並んで採りに行ったものです。
そんなどこにでもいるメダカが今大変な人気を集めており、タダで採れていたメダカに1匹数万円の価格が付けられて販売されています。
ではなぜメダカにこれほどの人気が集まったのか、私たちが知らないメダカの世界を調べてみました。
■メダカとは
メダカまたは二ホンメダカはダツ目 メダカ科に属する魚である、ミナミメダカOryzias latipesと、キタノメダカOryzias sakaizumiiの2種の総称です。
体長約3.5cm程度の淡水魚で、飼育が簡単なため、金魚と同様に観賞魚として昔から親しまれてきました。
また一般的な鑑賞用以外には様々な科学研究用にも用いられています。
その生体は流れのゆるい小川や水路に生息し、動物プランクトンなどを主なエサとしています。蚊の幼虫であるボウフラを食べることから、ボウフラを退治する益魚として用いられることも有名です。
1回の産卵で約10個程度の卵を産みます。その産卵時期と水田に水が張られる時期が一致していることから、日本の稲作文化と共存してきた『水田の魚』と称されることもあります。
また腎機能が発達しているので耐塩性が非常に高い事から、慣れされば海水での生活も可能とされています。
その体質をうまく使い、台風や大雨で海に流されても河口付近の汽水域にとどまり、流水が緩やかになってきたら元居た場所に戻ることができます。
一般的な野生のメダカは約1年程度の寿命ですが、人工的な環境下では長いもので3年~5年生きることも知られています。
■メダカは絶滅危惧種です
日本では昔から小川には当たり前のようにメダカが生息していて、多くの群れを見ることが出来ました。
しかし、1980年あたりから野生のメダカが日本各地で減少し、今ではその姿を見ることも少なくなりました。
その主な原因が、農薬の使用や生活排水による環境汚染とされています。
また近年各地で問題となっている繁殖力の強い外来種のブルーギルやカダヤシなどに捕食されていることも一つの要因に挙げられています。
そしてメダカは本来水田のような一時的水域に侵入して繁殖する性質が強く、農地改良による用排分離により水田内に侵入することが困難になったことが特に致命的となりメダカの繁殖力を著しく低下させているのです。
このようにメダカを取り巻く環境の変化から、1999年には環境庁が発表したレッドデータブックにより絶滅危惧種として指定されました。
当時、これまで身近な生き物だったメダカの絶滅危惧種の報道はマスコミによって大々的に報道され、各地で保護活動が盛んに行われるきっかけとなりました。
しかし、その保護活動が問題となった例もあります。
メダカは生息水域はその種類ごとに大きく異なり、保護活動により保護されたメダカは遺伝的な違いなどの配慮がされず、メダカ池やビオトープ池を作り、本来その地域に放流すべきでない他の地域産のメダカや鑑賞用として品種改良された飼育品種であるヒメダカほ放流した例が多数あります。
実際に関東の荒川や利根川に生息する個体群のほとんどは瀬戸内地方や収集北部に分布するはずのメダカであることが分かっています。
またひどいところでは誤ってカダヤシをメダカのいる池に放流した例もあります。
結果、現在では地域ごとに遺伝的に大きな多様性を持った地域個体群の局所的な絶滅の進行が危惧されています。
■メダカブームの理由
そもそもメダカは特に専門的な知識がなくても、水槽にカルキを抜いた水道水を入れるだけで飼えるため初期投資が少なくお手軽に飼育出来ることが人気の理由としてあげられます。
その繁殖も簡単なため、様々な品種改良が進み、今では熱帯魚のような美しい外見を持つメダカも珍しくありません。
個人でも品種改良を行い、SNSに挙げる人が出てきたことが特に大きく、メダカを飼育する世代も幅広くなってきました。
今ではメダカの繁殖期になると愛好家たちの間でその年の人気品種が話題になり、今年の3月に販売された『ブラックダイヤ』が該当します。
そしてその稀少価値から、盗まれるという事件にまで発展しました。
ブラックダイヤのような希少品種や人気品種の卵をネットオークションで売る人が今では当たり前のようにいます。
メダカの価格はその稀少性で決まると言っていいでしょう。
鑑賞用として最もポピュラーなメダカが『ヒメダカ』です。ヒメダカは1匹20円~30円程度でホームセンターやペットショップなどで販売されています。
それに対し、オレンジ色が特徴の『楊貴妃』は1匹約200円、そして背中がキラキラ光っている『幹之』は1匹400円~500円が相場とその差がはっきりとわかります。
楊貴妃や幹之はホームセンターやペットショップで簡単に手に入れることが出来る品種です。
先ほど書いたブラックダイヤともなると、市場はほとんど出回っていなく、メダカ専門店などで販売されており、マニア向けと言える品種になります。
またその価格は1匹1万円以上とも言われています。
ここ最近では鑑賞用メダカの品種改良が進み、その種類は500~600種類と、年々増え続けています。
一般的なメダカはやや茶色がかった大きさも大体3cm程度のものですが、品種改良されたメダカは真ん丸な体のものだったり、錦鯉のような美しい模様を持ったものなど、自然ではまず見ることがないメダカたちです。
色のバリエーションも豊富で、形も様々な品種改良されたメダカが、現在大変な人気を集めており、空前のメダカブームを巻き起こしているのです。
■ブラックダイヤ
今年5月に愛媛県松山市のメダカ販売店から、1匹15000で販売している高級メダカ『ブラックダイヤ』が盗まれた事件は記憶に新しいです。
盗んだ数は48匹と、金額にして合計72万円相当のものだったことから当時ニュースになりました。
ブラックダイヤはその体は黒く、青いラメが入った大変珍しいメダカです。
もちろん小川や田んぼにいるものとは違い、品種改良で生まれたメダカで、稀少価値の高い品種とされています。
オロチにラメの形状を有する品種です。
■オロチ
現在最も黒いとされているメダカです。
過去に出回った黒いメダカは白い容器に移すと体色が薄くなる特徴があったなか、オロチはそれがありません。
■雪椿
紅白の色合いがしっかりとしたメダカです。
下半身の方にもしっかりと赤の色があるのが特徴です。
■小春
ピンク体色にスワローの形質を有する品種です。
鮮やかなピンクではなく、撫子色のような色合いになっています。
■マリンブルー
透き通った体色に体内の水色が映える爽やかなイメージをもつ品種です。
幹之メダカから黒系の体色を除くことで作出されました。
いかがでしょうか。
わりと親しみのあるメダカですが、知らないこともたくさんありますよね。
絶滅危惧種に指定されていることは知っていても、その要因だったりは多岐にわたり、今日まで続いています。
そんな中鑑賞用メダカの品種改良が頻繁に行われ、今では空前のメダカブームというわけです。
稀少な品種には想像以上の価格が設けられていたり、ネットオークションではすでに当たり前のように販売されている現在、再び自然界のメダカの正しい保護法についても考えていきたいですね。
比較的飼育が楽で、鑑賞用メダカの寿命は近年長くなっていますので、メダカ好き方は一度飼育にトライしてみてはいかがでしょうか。