今年4月に民事再生法の適用を申請し、事実上の経営破綻をした株式会社スマートデイズ。
スマートデイズは2001年に創業、2012年に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を主体に事業を拡大した会社だ。
一時は年間316億円という売り上げを計上していたスマートデイズだが、物件オーナーと銀行との契約状況が大きく変更したことにより信用不安が広がった。
結果今年の1月にはオーナーへの賃料の支払いが停止し問題が明るみになった。
番組では老後への蓄えにと、銀行から1億円の借入をしスマートデイズへ不動産投資をしたAさんの現状について紹介している。
賃貸保証30年。この言葉には大きな罠があった。
マイナス金利時代で銀行からの融資も積極的に受けられ、現在サラリーマンが副業に不動産ビジネスを始めているのだ。
しかし、この不動産ビジネスに大きな変化が出てきたのだ。
物件を購入するために銀行から億単位の借金をしたが、実際購入した物件は割高。1件1億5千万程度で購入したシェアハウスお評価は8千万程度だった。
そしてある日、入ってくるはずの賃料が支払われず、そのまま運営会社は経営破綻。
記憶に新しい、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を経営していた株式会社スマートデイズの民事再生法の申請が公表されたのはつい先月のことだ。
今回番組で自身の現状を打ち明けたのがAさん(50代の男性)だ。
Aさんは3年前に銀行から1億円の借り入れをし、スマートデイズが展開するシェアハウス「かぼちゃの馬車」の1棟を購入した。
不動産投資をする決め手となったが「30年間定額家賃保証」というスマートデイズが掲げていたうたい文句だ。
これは入居率にかかわらずこの期間は定額の家賃を支払うと言った内容だ。オーナーたちは空室でも大きなリスクを負うことなく家賃収入を得ることが出来ることに魅力を感じて投資をした。
■30年間定額家賃保証は有効ではないのか
実際に被害にあわれたオーナーさんやこの番組をみて、なぜこの保証があるのに?と思われた人もいるのではないでしょうか。
定額で払われると言っていた家賃の減額の要請がなぜ通じるのか。
これはサブリース会社が借地法家法という法律に守られているからです。
この借地法家法は周辺の相場に合わせて、家賃が合わない場合に減額交渉が出来る法律で、これで借主は守られているのです。
Aさんは1億円の借金をして不動産投資をはじめた。しかし、前述にも書いたように保証されたはずの賃料は借地法家法によって覆されたのだ。
去年の10月に一方的に賃料の減額が通知され、そして今年の1月にはすべての賃料の支払いが停止した。
同時にスマートデイズの代表は辞任。その後まもなくしてスマートデイズは経営破綻したのだ。
Aさんのほかにも巨額のローンを抱えたままの人は約700人にも及び、中には有名企業の管理職も多くいる。
彼らは被害者の会を結成し、スマートデイズ、融資したスルガ銀行、販売会社にローンの減免や刑事責任を問う働きを見せている。
また取材を進めるうちに多くのオーナーが頭金なしのローンを組んでいたことも分かった。
また別途問題にもなっているスルガ銀行の審査書類の改ざん問題もこの件に大きく関与している。
番組では実際に審査書類の改ざんをしたという証言やスルガ銀行元行員の内部告発情報を入手し、スルガ銀行の問題となっている融資の在り方についても取り上げた。
スマートデイズの経営破綻によって、不動産オーナーたちは未来への投資どころか巨額の借金を抱えることになったのだ。
スルガ銀行の審査改ざん問題はつい数ヶ月前に公に取り上げられ、目にした人も多いのではないでしょうか。
ごく一般のサラリーマンが頭金なしで1億円を超えるローンが組めるというのは普通は滅多にないことです。
今回のスマートデイズの問題が明るみになったことで、現在多くの人が取り組んでいる不動産ビジネスの不安定さが明るみになった。
被害あったオーナーたちに少しでも救済があれば良いですが、現状かなり難しいとされている問題でもあります。
スマートデイズの負債は今年の3月時点で債権者911名に対して約60億3500万円。このうち約23億円が物件オーナー約675名に対するものとのことです。
今後の不動産ビジネス業界にとっても今回のこの問題は大きな課題を残した結果となった。